海外に住む家族を日本に呼びたい~家族滞在ビザについて解説!
日本にいる外国人の妻や夫、子どもが本国にいるということは珍しくありません。日本を拠点として生活をするならば、家族も日本に呼び寄せて、一緒に暮らしたいと考えるのは自然な事です。
そんな時は、在留資格「家族滞在」(家族滞在ビザ)の取得を検討すると良いでしょう。この記事では、家族滞在ビザについて解説していきます。
在留資格「家族滞在」とは?
この在留資格は、一定の在留資格をもって日本に在留する外国人の扶養家族が取得するビザです。
まず大前提として、中長期の在留資格を所有した外国人が、既に日本で生活している必要があります。
手続としては、以下の2パターンがあります。
①まず、家族の中の扶養者が就労ビザ等を取得し、日本に先に入国してから、家族を呼び寄せるという方法。
②扶養者が就労ビザの認定申請をするのと同時に、被扶養者(家族)の家族滞在ビザの認定申請もするという方法。
同時に申請した場合は、原則的に結果も同時に出ます。
後程詳しく説明しますが、家族滞在ビザで呼び寄せが出来るのは「配偶者」と「子ども」だけです。
★本国の親の呼び寄せについては、こちらの記事をご覧ください。
外国にいる親の呼び寄せ~特定活動ビザ(老親扶養)について解説!
家族滞在ビザは、扶養者である外国人の就労ビザと結びついているため、就労ビザが不許可になると家族滞在ビザも不許可になります。
これは、更新についても同じで、就労ビザの更新が出来なければ、家族滞在ビザも更新出来ません。
家族滞在ビザを取得できるのはどんな人?
家族滞在ビザを取得する為には要件があります。
ここではその最低限の要件を紹介します。
日本にいる外国人が、一定の在留資格を持っていること!
具体的には、日本に在留する外国人が「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「留学」「介護」「興行」「技能」「特定技能2号」「文化活動」のうちのいずれかの在留資格をもっている場合が当てはまります。
仕事をする為のビザ、いわゆる就労ビザをもっていれば取得出来る、というイメージでいいでしょう。
ただし、日本に在留する外国人が「外交」「公用」「特定技能1号」「技能実習」「研修」「短期滞在」「特定活動」のうちのいずれかの在留資格をもっている場合は、家族滞在ビザでは家族を呼び寄せることはできません。
注意が必要なのは、「留学」の在留資格で日本にいる外国人が家族を呼び寄せようと考えた場合、その方の留学先によっては、家族滞在ビザを取得できないという事です。
家族滞在ビザを取得できるのは、留学ビザで在留中の外国人が大学・大学院・専門学校に留学している場合です。日本語学校や高校は該当しません。
呼び寄せる家族が「扶養家族」であること!
「扶養家族」とは
「扶養家族」とはつまり、自ら働いて生計をたてる訳ではないということです。生活をする為の収入は、就労ビザを持つ他の家族が稼ぐことになります。
そのため、家族滞在ビザで在留する場合は基本的に就労が認められていません。自分自身がフルタイムで働いて、一定の収入を得るような場合は、家族滞在ビザではなく、技人国などの就労ビザを取得しなくてはなりません。
ただし、家族滞在ビザでは一切仕事をすることが出来ないのかというと、そうではありません。
家族滞在ビザ申請時に合わせて「資格外活動許可」を申請し、許可を得れば、アルバイト程度であれば就労が許されます。
許可される範囲は、週に28時間以内です。
★資格外活動許可については、こちらの記事をご覧下さい。
週28時間以内って?許可要件は?~資格外活動許可について解説!
扶養者(日本にいる外国人)に扶養能力がある
扶養をする側(日本にいる外国人)は、扶養を受ける外国人を養うことが出来なければなりません。つまり、日本に家族を呼び寄せた後、安定して暮らせるだけの経済力があることを証明する必要があります。
具体的に収入がいくらなら許可になるのかといった、具体的な数値が決められている訳ではありません。住んでいる地域の物価や、家賃、扶養家族の人数などで個別に審査されます。本国に扶養家族がいる場合は、その人数も考慮されます。
このビザで呼び寄せられる「家族」は、配偶者と子どもです。親や兄弟などは、例え家族であったとしても、家族滞在ビザを取得することは出来ません。
この「配偶者」は、法律上正式に認められた配偶者を指します。その為、内縁関係や、同性婚は含まれません。
正式な法律婚をしているカップルであっても、それがかたちだけであってはいけません。事実上結婚生活が破綻している場合や、特別な理由がないのに別居生活を続けている場合は認められません。
「子ども」は、普通養子・特別養子、認知された非嫡出子を含みます。年齢条件は特になく、成人していても該当します。ただし、一般的に年齢が高くなると取得難易度は上がると言われています。
子どもを本国から呼び寄せる方法として、家族滞在ビザの他に「日本人の配偶者等」ビザを取得する方法がありますが、「日本人の配偶者等」では普通養子は含まれません。その点が家族滞在とは異なります。
★子ども呼び寄せについては、こちらの記事もご覧ください。
海外に子どもがいる~子の呼び寄せについて解説!
慎重に申請した方がいいパターン!
ここでは家族滞在ビザを申請する際に、注意した方が良い例をいくつかご紹介します。
日本にいる外国人の在留資格が「留学」や「文化活動」である!
「留学」や「文化活動」等の在留資格を持っている人は注意が必要です。
なぜならば、「留学」や「文化活動」は「家族滞在」同様、就労が認められていない在留資格であり、本当に家族を養うことが出来るのか?と疑われやすいからです。
常識的に考えて、資格外活動許可で認められるアルバイトだけでは、自分と家族を養うだけの収入は得られません。
預貯金の額や、親からの援助金など、生活資金をどのように賄うのかをしっかりと説明する必要があります。
また、奨学金も扶養能力として認められるので、奨学金の給付証明書などがあれば、それも提出すると良いでしょう。
日本にいる外国人が転職活動中、転職直後である!
扶養者が転職活動をしていて現時点での収入がない場合や、転職直後で収入が低い場合は、家族を養うことが出来る経済力がないと判断されてしまう可能性があります。
その場合は、預貯金の額が十分であれば、扶養能力があると判断されることがあります。
また、内定証明書や収入の見込み証明書を提出することで、十分な収入が見込まれることを説明するという方法もあります。
あるいは、収入が一時的に不安定になっているだけであり、無理に申請を急ぐ必要もないのであれば、申請のタイミングを改めるということも選択肢の一つとなります。
住居が単身者向けである!
家族を日本に呼んでから暮らす家が狭すぎると、家族全員で生活するのに不十分と判断され、不許可になる可能性があります。家族構成や人数に合った広さや間取りが求められます。
特に、今までは単身用のワンルームなどに暮らしていた場合はどは、注意が必要です。
子どもの年齢が高い!
家族滞在ビザで子どもを呼び寄せる場合は、例え子どもの年齢が成人年齢に近くても、親の扶養を受けているのであれば理論上は許可される可能性があります。
例えば、18歳以上の学生で、まだ就労していない場合などが該当します。
しかし、実際のところは子どもの年齢が高くなればなるほど、審査は厳しくなってしまいます。
子どもの年齢が、働くことが出来る位の年齢になると、審査ではまず「日本で働くことが目的なのではないか」ということが疑われます。目安としては15才が大きな分かれ目となります。
家族滞在ビザの取得が難しい場合は、留学ビザや就労ビザの取得を検討することになります。
子どもと離れていた期間が長い!
子どもを呼び寄せる場合、親と子どもが離れて生活していた期間が長いと、審査で不利になることがあります。
なぜ今まで子どもを呼び寄せなかったのか?
なぜこのタイミングで子どもを呼び寄せようと考えたのか?
今まで、誰が子どもの面倒をみていたのか?
その間の養育費はどうしていたのか?
このようなことの説明を求められます。
説明の補足資料として、子どもとの交流の記録(SNSの履歴、メール履歴、電話の通話記録、パスポートの出入国記録など)を積極的に提出した方が良いです。
家族が一緒に安心して暮らすために!
ここまで家族滞在ビザのことについて解説してきました。
様々な理由から、家族と離れて日本で活躍している外国人はたくさんいます。
家族と一緒に暮らしたいと考えた時、適切なタイミングで申請をすることや、添付する資料は非常に大切です。
また、家族の状況によっては、家族滞在以外の在留資格を取得することも検討する必要があります。
しっかりと準備をして、家族みんなが笑って過ごせるように、ビザ取得を目指しましょう!
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北野早紀行政書士事務所
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