相続に必要な手続き③~相続人・相続財産の調査

相続に必要な手続き③~相続人・相続財産の調査

誰かが亡くなった後に行う手続きを「相続手続き」と言います。
この相続手続きを自分が主体となって行うのは、ほとんどの人の場合、そう何度もあることではありません。
そのため、いざ相続手続きが必要になった場合に戸惑ったり、困ってしまうことは普通のことなのです。

「相続手続き」に着目した場合の、必要な主な手続きと大まかな流れは以下の通りです。
各段階の詳しい説明は、それぞれ解説記事を作成しておりますので、ご参照ください。

 

この記事では、「相続人・相続財産の調査」について説明します。


相続人調査とは?

相続手続きをする時、まず最初にしなくてはらないことは、相続人が誰なのか調べる事と、どんな遺産があるのか調べる事です。

ここでいう相続人とは、正しくは「法定相続人」といいます。法定相続人とは、法律で相続する権利があると定められた人のことです。相続人調査とは、この法定相続人にあたる人が誰なのかを、戸籍などを調べることによって確定させることを言います。

相続人調査がなぜ重要なのかというと、時に思いもよらない人が法定相続人だと判明したり、残された家族が全く想定していない血縁関係が調査によって明らかになることがあるからです。

例えば、亡くなった方に隠し子がいた場合や、再婚前の前妻/前夫との間に子どもがいた場合、その存在を亡くなった本人以外は全く知らず、戸籍を集めて初めて遺族が知ったということがあります。
例え、その人とは現在全く連絡をとっておらず、生死さえも分からないような関係性しかなかったとしても、法定相続人になる可能性があるのであれば、その所在を明らかにして連絡を取らなくてはなりません。

もしも、法定相続人のうち特定の人を除け者にして、一部の人だけで遺産分割協議をしてしまうと、いくらその場で話がまとまったとしても、その遺産分割協議は無効です。
遺産分割協議は、必ず法定相続人全員で行わなくてはならないという決まりがあるからです。

相続トラブルを未然に防ぐ為にも、最初にしっかりと法定相続人を調査することが重要です。

 ★相続人調査については、こちらの記事をご覧ください。
  どうやって戸籍を集める?~相続人調査の方法を紹介!

 


相続財産調査とは?

相続人調査と同様に、相続財産が何かをはっきりさせることも、相続手続きをする上では重要です。

不動産や預貯金などの記録や資料を集め、どこに、どういった、どれくらいの価値の財産があるのかを調べます。
相続財産の調査が不足していて、遺産分割協議が全て終わった後で新たな相続財産が見つかると、それについてはまた改めて協議し直さなくてはなりません。相続人が決まったら、それを再び遺産分割協議書にまとめ、全員が署名し、実印を押した上で印鑑証明書を添付し…と時間も労力もかかります。

また、相続財産の客観的な価値も明らかにしないと、相続人の間で遺産を分割をする時に、公平に分けることが出来なくなってしまいます。


遺言書があれば、相続人と相続財産の調査はいらない?

もしも遺言書があった場合、遺言書に「〇〇に、××を相続させる」というような記載があるはずです。このように、遺言書に相続人や相続財産について書いてある場合、相続人調査や相続財産調査は不要のように思われます。

しかし、もしも遺言書が自筆証書遺言で、検認が必要な場合は、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍と、相続人全員の戸籍謄本を用意しなくてはなりません。

遺言書が公正証書遺言の場合、多くの場面では遺産分割協議書や自筆証書遺言で手続きをするケースよりは必要書類が少なくなりますが、亡くなった方の死亡が記載された戸籍謄本や住民票の除票、遺産を相続する相続人の戸籍謄本や住民票が必要な場合があります。

また、相続人が誰かを調べておくと、遺留分を請求する可能性がある人を把握することも出来ます。

相続財産については、遺言書に全て書いてあれば問題ないのですが、稀に書き漏れた遺産が後で見つかることがあります。可能であれば、あらためて相続財産を調べておくと良いでしょう。

 

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北野早紀行政書士事務所
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