転勤や出向で外国人が日本に来る場合~企業内転勤ビザについて解説!
外国人が出向や転勤で日本にやってくる場合、どのような在留資格が必要なのでしょうか。
この記事では、日本で仕事をするための、いわゆる就労ビザのうち、「企業内転勤」について解説していきます
在留資格「企業内転勤」とは?
この在留資格は、いわゆる就労ビザと呼ばれる、仕事をする為の在留資格の一つです。
近年は経営活動のグローバル化に伴い、海外に支店を設けたり、海外企業と資本関係にある企業も増えています。海外にある関連会社から日本の企業に出向で来る外国人や、外国の本社から日本の支店へ転勤でやってくる外国人が取得できる在留資格が、「企業内転勤」です。
どんな活動が当てはまるのか?
企業内転勤ビザに該当する活動は、次のように規定されています。
「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表(入管法別表第1の2の表)の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」
この規定について、少し細かく解説していきたいと思います。
「外国にある事業所」「本邦にある事業所」はいずれも外国会社、日本会社どちらもOK!
「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所」と「本邦にある事業所」は、外国企業・日本企業どちらも当てはまります。例えば、外国に本社がある外国企業の営業所が日本にある場合も該当しますし、外国企業と一定の資本関係にある日本企業も該当します。
ただし、日本にある外国会社の営業所は、営業所設置の登記が必要です。駐在員事務所の場合は、登記することが出来ないので、事業所が実際にあることを証明するために事務所の賃貸借契約書などの提出が必要となります。
日本の事業所で働く期間が決まっていなくてはならない!
では、どの位の期間までなら許されるかというと、はっきりと「○年まで」とは決まっていません。しかし、昔は5年以内と定められていたこともあります。
企業内転勤ビザの「転勤」には、子会社や関連会社等への出向も含む!
一般的に転勤というと、同じ会社内の他の支社などに異動になることを思い浮かべると思います。もちろん、そのような異動も企業内転勤ビザの転勤にあてはまります。しかし、このビザではその他に、系列企業内の出向なども「転勤」に含みます。
具体的には、次のような関係性がある転勤として扱われます。
・本店と支店間
・親会社と子会社間
・子会社と子会社間
・子会社と孫会社間
・孫会社と孫会社間
・親会社と親会社の関連会社
・子会社と子会社の関連会社
※関連会社とは、出資や人事、取引等の関係を通じて、財務上、営業上重要な影響を与える関係の会社を言います。
技術・人文知識・国際業務ビザで認められるものと同じ業務を行う!
企業内転勤ビザで行うことができる仕事とは、技術・人文知識・国際業務ビザと同じです。技術・人文知識・国際業務ビザでは、一定の専門知識や技術を必要とする、ホワイトカラーの仕事をすることが出来ます。工場のライン作業のような、単純作業のような仕事をすることは出来ません。
また、会社を経営する場合は経営・管理ビザが必要となりますので、企業内転勤ビザにおいても経営や管理業務を行うことは認められません。
★技術・人文知識・国際業務ビザについては、こちらの記事をご覧ください。
就労ビザの代表格~技術・人文知識・国際業務ビザについて解説!
どんな人が企業内転勤ビザを取得できるのか?
企業内転勤ビザを取得するには、一定の要件をクリアしなくてはいけません。
ここではその要件を紹介します。
- 日本に転勤する直前に、外国の事業所で、技術・人文知識・国際業務ビザの活動に該当する業務に1年間以上従事していたこと
- 日本人と同等額以上の報酬を受け取ること
企業内転勤ビザ取得に学歴は関係ある?
技術・人文知識・国際業務ビザを取得するには、一定以上の学歴か職歴が必要です。この学歴要件、職歴要件がネックとなり、技術・人文知識・国際業務ビザの許可がとれないという事も珍しくありません。
企業内転勤ビザにおいてはどうでしょうか。
既述のとおり、過去1年間の職歴については一定の条件があります。
しかし、学歴は特に問題とされません。ここは、技人国ビザと大きく違うところです。
そのため、学歴要件がクリアできず、技人国ビザを取得できない人であっても、企業内転勤ビザで一定の関係性のある日本の会社に転勤することは可能です。
企業内転勤ビザのことを良く理解して準備をしよう!
企業内転勤ビザは、従事する業務内容や期間など、活動には一定の制限があります。しかし、技人国ビザのような学歴要件がないなど、取得しやすい面もあります。
日本に来る目的や、目的達成に必要な期間などから、企業内転勤ビザが適しているかどうか検討しましょう。
また、実際に申請するとなると、外国の事業所と日本の事業所の関係性を証明する為に、様々な書類を用意する必要があります。
そういった書類を用意するのに、予想外に時間や手間を要する可能性もありますので、早めに準備を進めるようにしましょう。
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北野早紀行政書士事務所
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